ラベル and の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル and の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2014年4月11日金曜日

毎夜その家を通り過ぎた 03


James Joyce の "Dubliners"、3回目。


コロンの続きを見てみましょう。 (太字の箇所)

    There was no hope for him this time: it was the third stroke. Night after night I had passed the house (it was vacation time) and studied the lighted square of window: and night after night I had found it lighted in the same way, faintly and evenly.


コロンの後は and で始まっています。

and については前回 and studied the lighted square ... の箇所でも触れたように、

   ・ and は基本的に何かと何かを並べます。

   ・ 並べられる何かと何かは (文法上・構文上) 対等な立場になります。

ということでした。


ここでも 「何」 と 「何」 を “対等” に並べているかがポイントになりそうです。

続きを見てみると

    and night after night

と、前の文と同じ表現が出てきました。 「そして毎晩毎晩」 です。

    and night after night I had found ...

前の文はここは

   Night after night I had passed ...

となっていたので、パターンが同じです。

そうすると、and night after night の and は、前後に同じパターンの文を並べていると予想が着きます。


図式化すると、

    Night after night I had passed the house

                           [and] studied the lighted square of window:

    (and)

    night after night I had found it lighted ...


ということになりそうです。


では、2回目の night after night の後の、

    I had found it lighted (アイ ハッド ファウンド イット ライティッド)

です。


had found は前の文と同じく過去完了形で、found は動詞 find の過去分詞。

find の基本の意味は「見つける」ですが、もう一つ「〜が...(な状態)だとわかる・見出す・気付く」というのがあります。


今回の場合、

    I had found it lighted

なので、

    私は I / わかった had found /それが it / 照らされた lighted 状態だ と

つまり、

  それが照らされていることがわかるのだった。

ということでしょう。


この形をつかめないと

    I had found it lighted

を、

    私はそれを見つけた I had found it / 照らしていた lighted

とか、

    私は見つけた I had found / それは照らしていた it lighted

とかやってしまうかも。


同じパターンの例文を見つけたので見ておきましょう。

    Finally a servant found a bathroom door locked.

    (William Faulkner, "Sanctuary")


発音:

    Finally a servant found

    ファイナリィ ア サーヴァント ファウンド

    a bathroom door locked.

    ア バスルームドア ロックト


意味:

    Finally とうとう / a servant 召使の一人が / found 気づいた / a bathroom door バスルームのドアが / locked ロックされている(鍵がかかっている)のを.


さて話は戻って、

    I had found it lighted

ですが、ここで照らされている 「それ」 ( it ) とは “窓” のことを指しているのでしょうか。

英文中の it は多くの場合具体的な単語(や単語群)の代わりをしています。

もちろんほとんどの場合、 it が代理する単語(単語群)は it より前(左)にあります。

今の場合はどれでしょうか。

    There was no hope for him this time: it was the third stroke. Night after night I had passed the house (it was vacation time) and studied the lighted square of window: and night after night I had found it lighted in the same way, faintly and evenly.


the lighted square of window の window でしょうか。

この文章をよく読むと、 it  が代理しているのは the lighted square of window という語群のほうのような気がします。どうでしょうか。

(続く...)


2014年3月28日金曜日

毎夜その家を通り過ぎた 02

There was no hope for him this time: it was the third stroke. Night after night I had passed the house (it was vacation time) and studied the lighted square of window:

( Joyce, "Dubliners" )


ジョイスの 『ダブリンの人々』 の冒頭の続きです。


前回は and の前までやりました。


    Night after night I had passed the house (it was vacation time) ...

    夜ごと、私はその家の前を通り過ぎた (私は休暇中だった) ...


この後に、

    and studied the lighted square of window: 

    アンド スタディード ザ ライティッド スクエア オヴ ザ ウインドウ

が続きます。


まず and ですが、and は基本的に何かと何かを並べます。 

並べられる何かと何かは (文法上・構文上) 対等な立場になります。


今の場合 and の後にある studied と同じ立場の語句が and の前(左)に在るはずです。

studied は動詞 study の過去形または過去分詞形なので、and の左に、動詞の過去形や過去分詞形がないか探します。

と、すぐに had passed が見つかります。

had は have の過去形、passed はここでは pass の過去分詞形でした。

( was もありますが、wasは括弧の中の文にあるので、とりあえず外して考えましょう。 )


で、studied は had (過去形) と並べられているのか、それとも passed (過去分詞形) と並べられているのか。


つまり、

    I had passed the house
        and    
    I studied the lighted square of window

なのか、それとも

    I had passed the house
      and    
    I had studied the lighted square of window

なのでしょうか。 (太字の赤字は追加した語句)


形としては、

    I had passed the house
      and    
    I had studied the lighted square of window

のほうが、両方とも

    主語 I + had + 動詞の過去分詞

という形になってすっきりします(形式的に整います)。


ですので、とりあえずこちらを採用して、続きを読んで不都合が生じたらまた考え直しましょう。


で、

    ( I had ) studied...

    私は勉強した...


「何を」 勉強したのか。

    ( I had ) studied the ...

the は定冠詞なので、theの次には必ず名詞が来ます。

その名詞を 「勉強した」 となるはずです。

    ( I had ) studied the lighted ...

ですが、lighted は名詞ではありません。

light は 「光」 「明かり」 という名詞ですが、ここでは -ed がついていることからも分かるように動詞です。

動詞の light は 「火をつける」 「照らす」 などの意味があります。

ここでは それが lighted と -ed がついているので、動詞 light の過去形または過去分詞形になります。


そのどっちなのか?

動詞の「過去形」 は文の述語として使われます。 なので必ずその動詞に対応する主語 (主語となる名詞) があります。

「過去分詞形」 は、受動態(受け身)で使われたり、現在完了形や過去完了形で使われたり、また、「~される」 「~された」 という意味をもった形容詞として名詞を修飾したりします。


今回の場合、the lighted ... となっているので、 lighted は文の述語としては使われてはいません。

さっきも言ったように、 the のあとには名詞が来るので、文の述語としての動詞がくることはないからです。


そうすると、今回の lighted は過去形ではなく、過去分詞形ということになります。

「火をつける」 「照らす」 の light の過去分詞なので 「火を点けられた、火の点いた」 「照らされた」 などの意になります。 

では、「火の点いた」のは、「照らされた」 のは何かというと、

    ( I had ) studied the lighted square ...

square は 「四角形」 です。

あるいは 「(四角い) 公園」 などです。

New York の有名な場所に Times Square (タイムズ・スクエア) というのがありますね。

あそこは公園ではないですが。


では、the lighted square は、

    火の点いた(照らされた)四角形

なのか、あるいは

    火の点いた(照らされた)公園
    
なのか、それとも別のものなのか。


続きを見てみましょう。

    ( I had ) studied the lighted square of window

of window 、つまり 「窓の」 なので、square は 窓の四角形の形(面)を言っているのでしょう。

それが、「照らされて」 いるのではないでしょうか。


だとすると

    ( I had ) studied the lighted square of window

は、

    私は、窓の照らされた四角形を勉強した

ですが、「勉強した」 じゃ変なので辞書を引くと、study には、

    詳しく調べる

    注意深く観察する

という意味も出ています。


なので、

    ( I had ) studied the lighted square of window

は、

    私は、窓の照らされた四角形をじっと観察した

とかです。


つなげると、

    Night after night I had passed the house (it was vacation time) and studied the lighted square of window:

    夜ごとに私はその家の前を通り過ぎ (休暇の時期だった)、照らされた窓の四角形をじっと観察した。

という感じです。


この小説の冒頭からつなげると、

    There was no hope for him this time: it was the third stroke. Night after night I had passed the house (it was vacation time) and studied the lighted square of window:

    今度ばかりは彼に望みはなかった。三度目の発作だったのだ。 毎晩ぼくはその家の前を通って (ぼくは休暇中だった)、四角い窓が照らし出されているのをじっと観察した。


こうして全体をつなげると二つのことがわかります。


1. ひとつは、the house の house に定冠詞の the がついているのは、その家がどの家でもいい任意の(=テキトーな)通りすがりの家ではなく、 「彼」 が発作を起こしている 「その家」 だということ。


2. もうひとつは、had passed が過去完了形なのは、「家の前を通りすぎてじっと観察した」 行動が、「彼」 が三度目の発作を起こしたとき (it was the third stroke の過去形) ”より以前” を表現しているということです。