( Joyce, "Dubliners" )
ジェイムズ・ジョイス 『ダブリンの人々』 、前回の続き、小説冒頭の2文目を読みます。
今回は Night から and の前まで見てみます。
一応発音を。
Night after night
ナイト アフター ナイト
I had passed the house
アイハッド パスト ザハウス
(it was vacation time)
イットゥ ワズ ヴェイケイション タイム
最初の、
Night after night ...
は、
夜ごとに(毎晩)...
という意味になります。
after の前後に同じ名詞を置いて、反復や継続を表します。
同じような表現で、
day after day
だと、
来る日も来る日も (毎日毎日)
になります。
※ The Beatles (ザ・ビートルズ) というバンドの The Fool On The Hill (丘の上の愚か者) という曲の出だしが Day after day ... で始まります。
もう一つ例を。
time after time
何度も何度も
この場合の time は 「時間」 じゃなくて、「回」 のほうの意味ですね。
※ .Cyndi Lauper (シンディー・ローパー) という歌手のヒット曲に Time After Time というのがありました。
では、続きを見てみましょう。
Night after night I had passed ...
夜ごとに私はパスした...
pass は
通り過ぎる
(時が)経つ
(試験に)受かる
(ボールを)パスする
などいろんな意味を持ちます
今の場合は、
Night after night I had passed the house ...
と、続いているので、
その家を通り過ぎた
という意味の pass でしょう。
ここで、 pass は had passed と過去完了形になっています。
過去完了形は、ある過去の時点を基準にして、その時点までに完了した事態を表します。
なので、「基準になっている過去の或る時点」 があるはずです。
続きの括弧の中を見ると、
Night after night I had passed the house (it was vacation time)
となっていて、
毎晩、私はその家の前を通り過ぎた (休暇中だったのだ)
と訳せばよいでしょう。
(続く)