2014年3月21日金曜日

エミリー・グリーアソンさんが死んだとき

When Miss Emily Grierson died, our whole town went to her funeral.

( Willaim Faulkner, "A Rose for Emily" )


20世紀前半の作家、ウィリアム・フォークナー の短編 「エミリーにバラを」 の冒頭です。


まず、カタカナですが発音を。

    When Miss Emily Grierson died,

    ウェン ミス エミリー グリアソン ダイド

    our whole town went to her funeral.

    アワー ホウル タウン ウェント トゥ ハー フューネラル


では、頭から見て行きましょう。

    When ...

whenは、「いつ ...?」 という疑問詞か、 「... が ~ するとき」 という接続詞か、 “関係副詞” の when のいずれかの可能性があります。

今回の場合は、文の最後に疑問符 (? / クエスチョンマーク / Question Mark ) がないし、疑問文なら did Miss Emily Grierson die ...? とかになるはずですがそうなってないので、疑問詞の when ではないです。

また、 関係副詞の when は ... the time when ... とかいうふうに、時間を表す名詞の後に when が来たりするので、関係副詞の when でもないです。


なので、今回の when は接続詞の when (...が~するとき) です。

なんて長々書かなくても文が短いのですぐにわかりますが。


で、when の後に来ているのは、

    When Miss Emily Grierson

エミリー・グリアソンという独身の女性 (Miss) です。


接続詞の when の後は、

    When 主語 + 述語動詞 ...

となるはずなので、この Miss Emily Grierson は主語でしょう。


続きを見ると、

    When Miss Emily Grierson died

なので、 died (dieの過去形)、つまり「死んだ」 という動詞が来ています。

ここまでで、

    エミリー・グリアソンさんが死んだ時、

となります。


Miss Emily Grierson を 「エミリー・グリアソンさん」と訳すと 「独身の女性」 であることがわかりません。

そこで、「エミリー・グリアソン嬢」 とか訳すこともありますが、「~嬢」 って 「未婚の女性」 っていう意味があるのですが、あまり耳慣れないですね。

それに、「嬢」 はいまはけっこう若い女性を指す感じですが、Miss は、年齢に関係なく 「独身(未婚)」 の女性になります。

続きを読んでいくとわかりますが、この 「エミリー・グリアソン」 さんは “老人” です。


文に戻って、died のあとにカンマ (コンマ comma ) があります。

    When Miss Emily Grierson died,

コンマは、ピリオド ( period 終止符 ) と違って、ひとつの文としては終わらないけど、途中の切れ目だよみたいな感じでした。

いまの whenの文だと、

    When 主語1+述語動詞1 ..., 主語2 + 述語動詞2 ....

というパターンで、「...が~するとき、xxxはoooする」 みたいなのがあります。


ですので、今回の

    When Miss Emily Grierson died,

のコンマ (,) は、その切れ目じゃないかと予想がつきます。


続けてみていくと、

    When Miss Emily Grierson died, our

    エミリー・グリアソンさんが死んだとき、私たちの...

our (私たちの)「何」でしょうか、


    When Miss Emily Grierson died, our whole ...

    エミリー・グリアソンさんが死んだとき、私たちの全体の...

whole は、形容詞で 「全体の~、~の全体、~まるごと」 です。


※ スーパーに売ってる缶詰の 「ホールトマト」、 むかし料理なんてしてないころ、「穴あき (hole) トマト」 ってどいうトマトなんだ? と思ってましたが、よく考えたら 「トマトまるごと(whole)」 の whole のほうでした...。


で、「私たちの ~ 全体」 の 「~」 は何かといえば、

    When Miss Emily Grierson died, our whole town ...

「私たちの町の全体」 「私たちのまち全部」。


それがどうした (何をした) のか?

    When Miss Emily Grierson died, our whole town went ...

「私たちの町の全体」 「私たちのまち全部」 が、「行った」。


「どこ」へ行った?

    When Miss Emily Grierson died, our whole town went to her funeral.

to her funeral に行ったと言っています。

funeral は 「葬式」 なので、

    エミリー・グリアソンさんが死んだ時、私たちの町全体が彼女の葬式に行った。

となります。

「町全体」 は 「町の人みんな」 でもいいかもしれません。


※ 日本語訳は、新潮文庫の『フォークナー短編集』 などがあります。