2018年6月29日金曜日

君のことをググってみた。

I googled you.

映画「ラブソングができるまで」(原題:Music and Lyrics / 2007)からの一文です。

   Music and Lyrics (2007) Official Trailer 
   ※ 今回の台詞は出てきません。

いまは落ちぶれぎみの主人公、元人気アイドルロックグループのボーカル(ヒュー・グラント / Hugh Grant)の台詞。

I googled you.
アイ グーグルド ユー

google が動詞になっています。

日本語で言うと「ググる」でしょうか。

「私はあなたをググりました」。

この you は、このあと恋人になる相手(Drew Barrymore)です。

「君のことをググってみたんだ。」

というかんじか。



2018年6月9日土曜日

私は決して裸でないことはないのだろうか

Am I never naked or am I never not naked?
("The Tick" Season 1, Episode 4)

スーパーヒーロー!「ティック」の一言。

※ この映像中には引用文は出てきません。

ティックはいつも青いボディスーツを着て(または青い皮膚を持ってい)ます。

いつもあくまで楽観的なスーパーヒーローティックが自分に問うた一言です。

Am I never naked 
アムアイネヴァネィキッド

or am I never not naked?
オァアムアイネヴァノットネィキッド

疑問文ですが、普通の文(肯定文)にもどしてみます。

それぞれ、

I am never naked
私は決して裸ではない(=裸じゃない)

I am never not naked
私は決して裸でないことはない(=いつも裸だ)

なので、

Am I never naked 
私は決して裸なんかじゃないのか

or am I never not naked?
それとも私は決して裸でないことはないのか。
= それとも、私はいつも裸なのか

です。

2018年5月23日水曜日

お前たちは人間でさえない 05

 Do you maggots understand that?

映画「フルメタル・ジャケット」(Full Metal Jacket / 1987)冒頭シーンの第5回目(最終回)です。

    → 第1回目
    → 第2回目
    → 第3回目
    → 第4回目





□ 全文は:

You are not even human fucking beings. You are nothing but unorganized grabastic pieces of amphibian shit! Because I am hard, you will not like me. But the more you hate me, the more you will learn. I am hard but I am fair. There is no racial bigotry here. I do not look down on niggers, kikes, wops or greasers. Here you are all equally worthless. And my orders are to weed out all non-hackers who do not pack the gear to serve in my beloved Corps. Do you maggots understand that?


□ 前回までの訳文:

You are not even human fucking beings.
お前たちは人間ですらない。

You are nothing but unorganized grabastic pieces of amphibian shit!
まだ生き物になれない、何の価値もない、カエルの糞のかけらにすぎない。

Because I am hard, you will not like me.
俺は厳しいぞ。だからお前らは俺を嫌いになる。

But the more you hate me, the more you will learn.
だが俺を嫌えば嫌うほど、多く学べるようになる。

I am hard but I am fair.
俺は厳しいが差別はしない。

There is no racial bigotry here.
ここでは人種的な偏見なんかない。

I do not look down on niggers, kikes, wops or greasers.
私は黒んぼもユダヤ野郎もイタ公も、メキシコ野郎だって軽蔑なんかしない。

Here you are all equally worthless.
ここではお前らみんな等しく無価値だからだ。

And my orders are to weed out all non-hackers who do not pack the gear to serve in my beloved Corps.
それに私の命令はなんのためか? 私の大切な軍団に必要な準備をして仕えようとしない、すべての役立たずの雑草どもを引っこ抜くためだ。


□ 今日の文:

Do you maggots understand that?
ドゥーユーマゴッツ アンダスタンドザット

maggot は「うじ虫」です。

なので、「おまえらうじ虫どもわかったか」です。

この maggots は、主語の you の言い換え(説明・補足)みたいなかんじです。


[この項おわり]


2018年5月17日木曜日

お前たちは人間でさえない 04

And my orders are to weed out all non-hackers who do not pack the gear to serve in my beloved Corps. 

映画「フルメタル・ジャケット」(Full Metal Jacket / 1987)冒頭シーンの第4回目です。

    → 第1回目
    → 第2回目
    → 第3回目




今回は最後から二番目の文です。

[発音]

And my orders are to weed out all non-hackers
アンド マイオーダーズ アートゥウィーダウト オールノンハッカーズ

who do not pack the gear to serve
フー ドゥノットパックザギア トゥサーヴ

in my beloved Corps.
インマイビラヴドコール


[解釈]

◇ And my orders are to weed out
   そして私の命令は...を排除するためだ

weed は名詞で「雑草」、あと「役に立たない人」。 動詞で weed out で「雑草を取る」「役立たない人を排除する」です。

〈 to + 動詞の原形 〉(いわゆる「to不定詞」)はここでは「~するため」という目的を表現しています。(不定詞の副詞的用法)


◇ And my orders are to weed out all non-hackers

weed out の目的語は「 all non-hackers 」。

non-hacker ですが、第1回目でも紹介した Urban Dictionary には、

    Person who gives up, or quits.
    諦める人、やめる人

となっています。(→ 引用元 )

ほかにも調べてみると、"The New Partridge Dictionary of Slang and Unconventional English" という俗語(スラング)辞典に、

    a soldier who cannot keep up with his fellow soldiers; an ineffective, incompetent soldier
    仲間の兵士についていけない兵士。役に立たない、無能な兵士。

という語釈があり、そこに今回の引用文が例文として掲載されています。

ですので、

    And my orders are to weed out all non-hackers
    そして、私の命令は無能なやつを全員排除するためだ

となります。


◇ And my orders are to weed out all non-hackers who do not pack the gear to serve in my beloved Corps.

who は関係代名詞。

all non-hackers を who以下の部分が修飾しています。

    all non-hackers ← [who do not pack the gear to serve in my beloved Corps].

pack the gear で「用具を包む・荷造りする」

to serve  in my beloved Corps の serve は「仕える、尽くす」。

beloved 「最愛の」「大切な」。

Corps(発音は「コール」)は、「軍団」。 大文字で書くみたいです。

以上で、

    all non-hackers who do not pack the gear to serve in my beloved Corps
    私の大切な軍団に仕えるために荷物をまとめようとしない、すべての役立たずども

です。

 まとめると、

And my orders are to weed out all non-hackers who do not pack the gear to serve in my beloved Corps.

それに私の命令は、荷物をまとめて私の大事な軍団に仕えようとしない、すべての役立たずどもを排除するためだ
    ↓
それに私の命令はなんのためか? 私の大切な軍団に必要な準備をして仕えようとしない、すべての役立たずの雑草どもを引っこ抜くためだ。

→ 第5回目


2018年5月10日木曜日

お前たちは人間でさえない 03

I do not look down on niggers, kikes, wops or greasers. Here you are all equally worthless.

映画「フルメタル・ジャケット」(Full Metal Jacket / 1987)の冒頭シーン、第3回目。

    → 第1回目
    → 第2回目

今回の引用全体です。

You are not even human fucking beings. You are nothing but unorganized grabastic pieces of amphibian shit! Because I am hard, you will not like me. But the more you hate me, the more you will learn. I am hard but I am fair. There is no racial bigotry here. I do not look down on niggers, kikes, wops or greasers. Here you are all equally worthless. And my orders are to weed out all non-hackers who do not pack the gear to serve in my beloved Corps. Do you maggots understand that?




さらに「罵倒」は続きます...。

[発音]

    I do not look down on niggers,
    アイドゥノット ルックダウンオン ニガーズ

    kikes, wops or greasers.
    カイクス ワップス オァグリーザァズ

    Here you are all equally worthless.
    ヒァ ユーァオール イークォリワースレス


[意味]

look down on は「下に見る」かんじから「~を軽蔑する」という意味です。

nigger は黒人にたいする差別語、kike はユダヤ人に対する差別語、wop は移民のイタリア系住民に対する差別語、greaser はメキシコ人など中南米人に対する差別語です。

そこで、

    I do not look down on niggers, kikes, wops or greasers.

は、

    私は、黒んぼも、ユダヤ野郎も、イタ公も、メキシコ野郎も、軽蔑はしない。

という感じです。

あとは、

   Here you are all equally worthless.

   ここでは君たちはみんな平等に価値がない。

です。

まとめると、

I do not look down on niggers, kikes, wops or greasers. Here you are all equally worthless.

私は黒んぼもユダヤ野郎もイタ公も、メキシコ野郎だって軽蔑なんかしない。ここではお前らみんな等しく無価値だからだ。

→ 第4回目

2018年5月8日火曜日

お前たちは人間でさえない 02

Because I am hard, you will not like me. But the more you hate me, the more you will learn. I am hard but I am fair. There is no racial bigotry here.

映画「フルメタル・ジャケット」(Full Metal Jacket / 1987)の冒頭シーン、第二回目。

    → 第一回目

「罵倒」が続きます...。



[発音]

Because I am hard, you will not like me.
ビコーズ アイアムハード ユーウィルノットライクミー

But the more you hate me, the more you will learn.
バットザモアユーヘイトミー ザモアユーウィルラーン

I am hard but I am fair.
アイアムハード バットアイアムフェア

There is no racial bigotry here.
ゼアリズノウレイシャルビゴトゥリヒア


[意味]

Because I am hard, you will not like me.
私は厳しいので、君たちは私を好きにならないだろう。

But the more you hate me, the more you will learn. 
しかし、君たちが私を憎めば憎むほど、君たちはより多く学ぶことになるだろう。

※ 〈the 比較級 ~, the 比較級 ...〉で、「~すればするほど、ますます...だ」みたいになります。

I am hard but I am fair.
私は厳しいが、私は校正だ。

There is no racial bigotry here.
ここでは人種的な偏狭さはない。

※ bigotry は「頑迷」や「偏狭」。


[まとめ]

Because I am hard, you will not like me. But the more you hate me, the more you will learn. I am hard but I am fair. There is no racial bigotry here.

俺は厳しいぞ。だからお前らは俺を嫌いになる。 だが俺を嫌えば嫌うほど、多く学べるようになる。俺は厳しいが差別はしない。 ここでは人種的な偏見なんかない。

→ 第3回目


2018年5月6日日曜日

お前たちは人間でさえない 01

You are not even human fucking beings. You are nothing but unorganized grabasstic pieces of amphibian shit!

映画「フルメタル・ジャケット」(Full Metal Jacket / 1987)の冒頭シーンの一部です。

鬼教官が海兵隊の新兵教育?をしている場面。


まず、You are not even human fucking beings. から。

発音: ユアノットイーヴン ヒューマンファッキンビーイングズ

    You are not even ...
    君たちは...ですらない

ここでの even は「~(で)さえ」「~(で)すら」です(副詞)。

human は「人間の」(形容詞)、being は「存在」「生き物」。
human being で「人間」です。

    You are not even human beings.
    君たちは人間ですらない

私の持っている『ジーニアス英和辞典〈改訂版〉』では、この even の用法について、

  [例外的な事がらを強調して]

という説明があります。

なるほど!

「君たちは例外的に人間であるということさえできない」ってことですね。

human と beings のあいだに fucking が入っていますが、やはり 『ジーニアス英和辞典』に、

    語気を強めるだけで特に意味はない

とあるので、

    You are not even human fucking beings.
    お前たちは人間ですらない

としておきましょう。

次は2文目の、

    You are nothing but unorganized grabasstic pieces 
    ユアナッスィングバット アンオーガナイズド グラバスティック ピースィズ
    of amphibian shit!
    オヴ アンフィビァン シィット

です。

nothing but は「ただ~だけ」「~でしかない」(= only)です。

※ but は否定語などの後で「~を除いて」という意味になるので、
        nothing but ~ = ~を除いた何ものでもない = ~でしかない
    となります。

このあとの unorganized や grabasstic は pieces(かけら)を就職している形容詞で、

    You are nothing but ... pieces of ~
    君たちは~の...なかけらでしかない

という形になっています。

どんな「かけら」なのか。

unorganized は 「organize されていない」、つまり「組織化されていない」とか「有機体(=生物)になっていない」 とかです。

grabasstic という単語そのものは手元の辞書に載ってないのですが、grab-ass という単語が『リーダーズ・プラス』にあり、

    vi. 遊びまわる, ぶらぶらする.
    n. 《性的な意図をもって》 相手の体にさわる[をまさぐる]こと.

となっています。


※ grab は「ひっつかむ」で、ass は「尻」なので、grab-ass はそのままだと「尻つかみ」みたいな感じか。

grabasstic は grab-ass の形容詞形っぽいので、

    遊びまわっている、ぶらぶらしてる
   〈性的に〉体をまさぐっている

みたいな意味でしょうか。

もうちょっとググってみたら、Urban Dictionary というサイトに grabasstic の2つの意味が載っていて、

1つ目: 校庭で遊ぶ grab-ass というゲームのような特性をもっていること、つまり、まったく混乱していて無秩序なこと

・Having the qualities of a playground game of grab-ass, ie, totally chaotic and disorganized.

2つ目: まったく価値のない人。 いかなる価値も持たない人。たいていは、人の性格を表す他の形容語句といっしょに使われる。

・One who is completely without worth. A person with no value whatsoever. Usually combined with other epithets on one's character.

となっています。

  → Urban Dictionary: grabasstic

そして、この2つ目の意味の例文として、"You are one unorganized, grabbasstic piece of amphibious shit!" が挙がっています。

そこで、

    You are nothing but unorganized grabasstic pieces of ...

までを、

    君たちはまだ生き物になっていない、無価値の...のかけらにすぎない

としておきましょう。

そして、何の「かけら」かというと、

    of amphibian shit

です。

amphibian は「両生類の」、shit は「糞(くそ)」。

なので、

    You are nothing but unorganized grabasstic pieces of amphibian shit!
    君たちはまだ生き物になっていない、無価値な、両生類の糞のかけらにすぎない

です。

まとめると、

    You are not even human fucking beings. You are nothing but unorganized grabasstic pieces of amphibian shit!

    お前たちは人間ですらない。 まだ生き物になれない、何の価値もない、カエルの糞のかけらにすぎない。

( → 第2回目 )


2018年5月1日火曜日

キスしたいけど怖いです

My boyfriend wants to kiss me and I kind of want to kiss him, but I've never kissed anyone and I'm scared I'll be terrible at it. What should I do?

Q & A サイト Quora の質問からです。

My boyfriend wants to kiss me and I kind of want to kiss him, but I've never kissed anyone and I'm scared I'll be terrible at it. What should I do? - Quora


> My boyfriend wants to kiss me

マイボーイフレンド ワンツトゥキスミー

「私のボーイフレンドが私にキスしたがっています」


> and I kind of want to kiss him

アンド アイ カインドオブ ワンツトゥキスヒム

ここでの kind of は「どちらかというと」「あるていど」「まあ」という会話での表現。副詞的に使われているので前置詞 of のあとに名詞がくるわけではありません。

「そして私もキスしたい気持ちはあるんです」


> but I've never kissed anyone

バット アイヴネヴァキスト エニワン

I've の ve は have が省略されたもの。

〈have + 過去分詞〉で現在完了形。 never は「一度も~ない」「決して~ない」。

現在完了形は「経験(~したことがある)」や「継続(ずっと~している)」や「完了・結果(~し終えた、~してしまった)」というニュアンスを持っています。

ここでは「経験」で、

「でも一度もだれにもキスしたことがありません」

anyone は否定文では「一人も・だれも(~ない)」となります。


> and I'm scared I'll be terrible at it

アンド アイムスケァド アイルビーテリブル アットイット

scared は「怯えた(おびえた)」。

terrible at は「~がヘタな」といういみがあります。

「そして私は自分がそれがヘタだろうことにおびえてます」


> What should I do?

ワットシュドアイドゥ

「私は何をすべきでしょうか」


まとめると、

My boyfriend wants to kiss me and I kind of want to kiss him, but I've never kissed anyone and I'm scared I'll be terrible at it. What should I do?

「ボイーフレンドがキスしたがっていて、私もキスしたい気持ちもあるんだけど、今までだれともキスしたことがないから、上手にできないんじゃないかとこわいです。 どうしたらいいですか。」

(ここまで)

[2018.5.1 公開 / 2022.10.23 更新]


2018年4月27日金曜日

キスしたいって言いいたいんでしょ?

Are you trying to say you want to kiss me?  
[Before Sunrise]

映画「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)」(1995 / 原題:Before Sunrise) の場面からです。

列車内で出会った二人がウィーンで途中下車。次の日の朝までずっとおしゃべりします。そして再会を約束して別れます。

いい映画です!

このYouTubeのビデオだと60秒あたりから。




おおまかな発音は、

    Are you trying to say 
    アー ユートライング トゥセイ

    you want to kiss me?
    ユーワントトゥ キスミ

です。

この文は疑問文なので、わかりやすくするためにふつうの文(平叙文)にしてみます。

    You are trying to say you want to kiss me.

〈try to 動詞の原形〉で「~しようとする」。

ここではそれが現在進行形になっているので「~しようとしている」。

何をしようとしているかというと to say なので、「言おうとしている」。

ここまでで、

    You are trying to say ...
    あなたは ... と言おうとしている。

となります。

では、何を言おうとしているのか。

you want to kiss me (あなたは私にキスをしたい)、です。

say のあとには、このように 〈主語+動詞~〉の形が来ることがあります。
( you が主語で、want が動詞。)

まとめると、

    You are trying to say you want to kiss me.
    あなたは  あなたは私にキスしたい  と言おうとしている

もとの疑問文だと、

    Are you trying to say you want to kiss me?
    あなたは私にキスしたいということを言おうとしているのですか。 
        ↓
    キスしたいって言いいたいんでしょ?

となります。

ビデオで聞くと、この文の want to の部分の発音ですが、 「ウォントトゥ」じゃなくて 「ウォナ」になっています。

会話文では want to は wanna になることが多いみたいです。

つまり、

    Are you trying to say you wanna kiss me?

です。


2018年3月29日木曜日

ニュースの英単語: iteration

ニュースに出てくる英単語です。

今日は、

iteration

発音: イテレイション  → Forvoで発音を確認

品詞: 名詞 ( -tion で終わる単語は名詞[抽象名詞]です。)

意味: 繰り返し、反復


2018年3月19日月曜日

自分が信じられないほど喉が渇いていることに気づいた

No sooner had I regained my ability to feel the cold than I noticed how incredibly thirsty I was.

[ Ryu Murakami, "In The Miso Soup" ]

この文は村上龍の小説『イン・ザ・ミソスープ』の英語訳からの引用です。

 → In the Miso Soup (Amazon)

発音は、

No sooner had I regained my ability
ノースーナー ハッド アイ リゲインド マイ アビリティ

to feel the cold than I noticed
トゥ フィール ザコールド ザン アイ ノーティスト

how incredibly thirsty I was.
ハウ インクレディディブリ サースティ アイ ワズ

という感じです。

この文は、

    No sooner had 主語 + 過去分詞 ... than 主語 + 動詞過去形 ~.

という形式になっています。

この形式は、「...するとすぐに~した」というような意味になります。

例文をこの形式に当てはめてみると、

No sooner had主語過去分詞...than主語動詞過去形
No sooner hadIregainedmy ability to feel the coldthanInoticedhow incredibly thirsty I was

となります。

それぞれの単語や表現の意味を確認しておきます。
  • regain は「取り戻す、回復する」。
  • my ability to feel the cold で「寒さを感じる私の能力」。
  • notice は「気づく」。
  • how incredibly thirsty I was で「どれくらい信じられないくらい喉が渇いていたか」。
全体では、

No sooner had I regained my ability to feel the cold
寒さを感じる力を取り戻すとすぐに

than I noticed how incredibly thirsty I was.
私はどれほどひどく喉が渇いていたかに気づいた。

となります。

※ ここは、村上龍の原文ではどうなってるんでしょうか。 (確認できたらお伝えします。)

◆ no sooner ... than ~ の構成

no sooner ... than ~ はなぜ「...するとすぐ~」という意味なのでしょうか。

no sooner が文頭ではなく、途中に組み込まれた文を見てみます。

He had no sooner seen me than he went out.
彼は僕の姿を見るや否や出て行った。 [斎藤和英大辞典]

こうするとわかりやすいですが、これは比較級の文です。

sooner は soon の比較級です。

ここでは sooner に no がついているので、「ゼロ程度により早く」、つまり「ほぼ同時に」という感じになります。

つまり、

He had no sooner seen me than he went out.

は、

彼が出ていったのよりゼロ程度に早く彼は私を見た。
   ↓
彼が出ていったのは、彼が私を見たのとほぼ同時だった。
   ↓
彼は私を見るとすぐに出ていった。

ということになります。

no sooner が文頭に来るのは、no sooner (否定の気持ち)を強調するためです。

そして否定部分が文頭に来ると主語(he)と動詞(had)が倒置されます(逆になります)。

He had no sooner seen me than he went out.
    ↓
No sooner had he seen me than he went out.

ですので、冒頭の引用文は、

I had no sooner regained my ability to feel the cold than I noticed how incredibly thirsty I was.

と書いても文としてOKです。

それから、

    He had no sooner seen me than he went out.

の前半が過去完了形、後半が過去形になっているのは、前半の事態(彼が私を見た)が、後半の事態(彼は出ていった[過去])よりも「以前」の出来事だからです。

◆ 訳例

No sooner had I regained my ability to feel the cold than I noticed how incredibly thirsty I was.

寒さを感じることができるようになったとたん、自分が信じられないほど喉が渇いていることに気づいた。


2018年1月15日月曜日

男と女の欲望

Freud wrote that men desire women but women desire men’s desire of them.

( Jane Juska, "A Round-Heeled Woman" )

2017年10月に亡くなったアメリカの作家、Jane Juska (ジェーン・ジャスカ)の "A Round-Heeled Woman" (邦題『ふしだらかしら - 老嬢ジェーンのセックスとロマンをめぐる冒険』) からの引用です。



大まかな発音は、

    Freud wrote that men desire women
    フロイト ロウト ザット メン ディザイア ウィミン

    but women desire men’s desire of them
    バット ウィミン ディザイア メンズ ディザイア オブ ゼム

という感じです。

Freud (フロイト)は19世紀中盤オーストリアに生まれた心理学者です。

では、文の意味を見ていきましょう。

    Freud wrote
    フロイトは書いた

とあるので、次に「何を」書いたかが来るはず。

もし、 Freud wrote a book. だったら、「フロイトは(一冊の)本を書いた」となりますが、ここでは、

    Freud wrote that

とあるので、この that を「あれを」と解すると、

    フロイトはあれを書いた

となりますが、

that を「接続詞」と解すると、この that の後に主語と動詞からなる文が続くことになり、

    Freud wrote that 主語(S) + 動詞(V) ...

というパターンになるので、

    フロイトは S は Vする(Vである)...ということを書いた

となります。

続きを見ると、

    Freud wrote that men desire women

となっていて、men が主語で desire が動詞となるので、

    フロイトは男たちは女たちを欲するということを書いた

となります。

後半は、

    but women desire men’s desire of them

で、

    but(しかし) women desire(女たちは欲する)
    men’s desire of them (男たちの彼女たちへの欲望を)

となるので、

    しかし、女たちは男たちの彼女たちへの欲望を欲する

みたいになります。

全体で、

    Freud wrote that men desire women but women desire men’s desire of them.

    男は女を欲するが、女が欲するのは男が女に対して持つ欲望なのだ、とフロイトは書いている。

という感じです。