Alexey Fyodorovitch Karamazov was the third son of Fyodor Pavlovitch Karamazov, a landowner well known in our district in his own day, and still remembered among us owing to his gloomy and tragic death, which happened thirteen years ago, and which I shall describe in its proper place.
ドストエフスキー Dostoevsky の、『カラマーゾフの兄弟 The Brother Karamazov』 冒頭部分 第三回目です。
前回は、
Alexey Fyodorovitch Karamazov was the third son of Fyodor Pavlovitch Karamazov, a landowner well known in our district in his own day, and still remembered among us owing to his gloomy and tragic death,
までで、意味は、
アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフは、フョードル・パヴロヴィッチ・カラマーゾフの三番目の息子だった。 この父のほうは当時この地方でよく知られた地主で、陰惨な悲劇的な死にかたをしたために、私たちの記憶にまだ残されていた。
という感じでした。
きょうは、この後に続く、
, which happened thirteen years ago,
ウィッチ ハップンド サーティーンイヤーズ アゴウ
を見ていきましょう。
which は関係代名詞というやつです。
関係代名詞は、「代名詞」の役割と「接続詞」の役割を持ちます。
代名詞としては、直前に出てきた名詞の代わりを務めます。
今回の場合 which の直前にある名詞は、 (his gloomy and tragic) death (死) なので、which はこれを受けている代名詞だと考えられます。
このように関係代名詞が受けている名詞のことを「先行詞」といったりしますね。
関係代名詞のもう一つの役割は、関係代名詞の後に続く文(=関係代名詞節)を先行詞と「接続」します。
言い換えると、関係代名詞節が先行詞を修飾 (または説明) します。
関係代名詞節 → 先行詞
今回の場合だと、
which happened thirteen years ago → his gloomy and tragic death
という感じです。
今言ったように、関係代名詞のあとには 「文」 が続きますが、この文というのは、基本的に
主語 + 述語動詞 + いろいろ
から成ります。
そして、関係代名詞はこの「文」 の主語になったり、目的語になったりします。
今回の場合は、
which happened thirteen years ago
となっているので、関係代名詞 which はその後に続く動詞 happened の主語だと考えられます。
happened は happen の過去形で、「(事件・できごとが)起きる、生じる」 という意味です。
なので、
(それは)三十年前に起こった
となります。
そうすると、
owing to his gloomy and tragic death, which happened thirteen years ago,
の部分は、
陰惨で悲劇的な死によって ← (その死は)30年前に起こった
↓
30年前に起こった、陰惨で悲劇的な死によって
という感じになりそうですし、意味も通ります。
ですが、今回は関係代名詞 which の前にカンマ ( , ) があります。
owing to his gloomy and tragic death, which happened thirteen years ago,
カンマは小休止みたいなものなので、
owing to his gloomy and tragic death
まででいったん文の流れが区切られ、
そのまま、
which happened thirteen years ago,
へと流れていく感じです。
ですので訳す場合もその流れを尊重して、
陰惨で悲劇的な死 - それは30年前に起こったのだが - ...
みたいに前から後ろへ読んでいったほうがよいです。
では、ここまでを確認しておきましょう。
Alexey Fyodorovitch Karamazov was the third son of Fyodor Pavlovitch Karamazov, a landowner well known in our district in his own day, and still remembered among us owing to his gloomy and tragic death, which happened thirteen years ago,
アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフは、フョードル・パヴロヴィッチ・カラマーゾフの三番目の息子だった。 フョードルは彼の生きていた時代にはこの地方でよく知られた地主で、陰惨な悲劇的な死にかた -それは30年前に起きた事件だ-をしたために、私たちの記憶にはまだ残っていた。