Alexey Fyodorovitch Karamazov was the third son of Fyodor Pavlovitch Karamazov, a landowner well known in our district in his own day, and still remembered among us owing to his gloomy and tragic death, which happened thirteen years ago, and which I shall describe in its proper place.
ちょっと長い文ですが、最初からいきなり見なれない単語が、
Alexey Fyodorovitch Karamazov
と続き、いずれも大文字で始まっています。
じつはこれは人の名前で、
アレクセイ フョードロヴィチ カラマーゾフ
となります。
この文は、有名なドストエフスキー Dostoevsky の、有名な『カラマーゾフの兄弟 The Brother Karamazov』の冒頭部分です。
ドストエフスキーはロシア語で書いているので、これはその英訳です。
で、その アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフは何をするのか(何をした)のか、あるいは何であるのか(何であったのか)。
Alexey Fyodorovitch Karamazov was the third son ....
アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフは、三男だった。
三男は「みつお」じゃなくて「さんなん」です。
紛(まぎ)らわしいので、
アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフは、三番目の息子だった。
にしましょう。
で、続きは、
Alexey Fyodorovitch Karamazov was the third son of Fyodor Pavlovitch Karamazov,
また名前です。
Fyodor Pavlovitch Karamazov
は、
フョードル・パヴロヴィッチ・カラマーゾフ
と読むことにしましょう。
なので、
アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフは、フョードル・パヴロヴィッチ・カラマーゾフの三番目の息子だった。
となります。
ついで、
Alexey Fyodorovitch Karamazov was the third son of Fyodor Pavlovitch Karamazov, a landowner ...
カンマのあとに a landowner (ア ランドオウナー)と続きます。
landowner は「土地所有者」、つまり「地主」のことです。
分解すると、land は「土地」で、owner は「持ち主」ですね。
さてこの a landowner (地主)はそこまでの部分とどうつながるのか。
この a landowner は、 Alexey Fyodorovitch Karamazov のことをいっているのか、それとも Fyodor Pavlovitch Karamazov のことなのか、あるいは別の人なのか。
続きを見ると、
Alexey Fyodorovitch Karamazov was the third son of Fyodor Pavlovitch Karamazov, a landowner well known in our district in his own day,
a landowner のあとに、過去分詞 known が(いきなり)出てきます。
いきなり、というのは、have や had の後じゃなく、といういみです。 have や had の後に過去分詞が来ていれば、現在完了形とか過去完了形ということになります。
過去分詞がいきなり出てくるときは、その前や後ろにある名詞を修飾していることが多いです。
known は know の過去分詞ですから 「知られた~」「知られている~」 という感じの意味になります。
今回は、
a landowner well known
ですから、
よく知られた地主
でしょう。
続きを見ると、
a landowner well known in our district
district (ディストリクト)は「地区、地域、地方」 なとの意味があるので、
私たちの地方ではよく知られた地主
です。
さらに続きを見ると、
a landowner well known in our district in his own day
で、own (オウン) は、ここでは名詞 day を修飾する形容詞で、
~自身の
といった意味です。
なので、 in his own day は、「彼自身の日」ということになりますが、そうすると
彼自身の日に、私たちの地方ではよく知られた地主
となって意味がとおりません。
そこで day を辞書で調べると、
時代、時世
と載っていますので、
彼自身の時代に、私たちの地方ではよく知られた地主
↓
彼自身が生きていた当時は、私たちの地方でよく知られた地主
という感じでしょう。
さて、ここまでの、
Alexey Fyodorovitch Karamazov was the third son of Fyodor Pavlovitch Karamazov, a landowner well known in our district in his own day,
を、a landowner の前後で分けて訳してみると、
アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフは、フョードル・パヴロヴィッチ・カラマーゾフの三番目の息子だった。 / 彼自身が生きていた当時は、私たちの地方でよく知られた地主
となりますが、どうも、a landowner ... はその直前の、 Fyodor Pavlovitch Karamazov を説明してるんじゃないか。
そこで、
アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフは、彼自身が生きていた当時は私たちの地方でよく知られた地主である、フョードル・パヴロヴィッチ・カラマーゾフの三番目の息子だった。
としてみました。
が、「彼自身が生きていた...」のあたりが、わかりにくいというか、このままだと「彼自身」の「彼」が、アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフのことになってしまいます。
そこで、さらに、
アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフは、フョードル・パヴロヴィッチ・カラマーゾフ -この人は当時はこの地方でよく知られた地主だった -の三番目の息子だった。
としました。
(続く)